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FROM SIBERIA WITH LOVE

ラーゲリより愛を込めて

12.9[Fri]
第35回 東京国際映画祭 オープニング作品
運命に翻弄され再開を願い続けた2人−11年に及ぶ“愛の実話”

二宮和也   北川景子

松坂桃李   中島健人   寺尾 聰   桐谷健太   安田 顕

奥野瑛太  金井勇太  中島 歩  田辺桃子  佐久本 宝  山時聡真  奥 智哉  渡辺真起子  三浦誠己  山中 崇  朝加真由美  酒向 芳  市毛良枝
主題歌:「Soranji」Mrs. GREEN APPLE(ユニバーサルミュージック / EMI Records)  原作:『収容所(ルビ:ラーゲリ)から来た遺書』(辺見じゅん著/文春文庫刊)  監督:瀬々敬久『64‐ロクヨン—』  企画プロデュース:平野 隆 『余命1ヶ月の花嫁』  脚本:林 民夫 『永遠の0』  プロデューサー:下田淳行 刀根鉄太 辻本珠子 音楽:小瀬村 晶

共同プロデューサー:原 公男 水木雄太 音楽プロデューサー:溝口大悟 ラインプロデューサー:及川義幸 撮影:鍋島淳裕 照明:かげつよし 美術:磯見俊裕 露木恵美子 装飾:大庭信正 小道具:柳澤 武 録音:髙田伸也 編集:早野 亮 VFXスーパーバイザー:道木伸隆 VFXプロデューサー:小坂一順 スクリプター:江口由紀子 衣裳:大塚 満 ヘアメイク:那須野 詞 助監督:海野 敦 制作担当:馬渕敦史 制作プロダクション:ツインズジャパン  企画協力:清水香子 文藝春秋   配給:東宝

配給:東宝 ©2022『ラーゲリより愛を込めて』製作委員会 ©1989清水香子 東宝

この映画を企画したのはコロナ禍の始まる前でした。社会全体が窮屈で息苦しく、どんどん生きづらい時代になってきたと感じていました。

そんな折、山本幡男さんに出逢い、過酷な状況下でもあくまでも人間らしく生きようとする姿に心打たれ、前を向いて歩かねば、と鼓舞されました。
そして製作を進めていくなかで、『コロナ禍』、『ロシアのウクライナ侵攻』が起きましたが、そこでの様々な悲劇が私には「ラーゲリ」で起きた悲劇にとても似ているように感じられました。

この映画はいわゆる“戦争映画“ではありません。人間賛歌の映画であり、愛の物語です。出口の見えない閉塞感の真っ只中にある2022年、傷つき、苦しみ、希望を見いだせなくなった方々に是非観てもらいたい、心からそう思います。

企画プロデューサー

平野 隆

イントロダクション

運命に翻弄されながら再会を願い
続けた2人の
11年に及ぶ愛の実話―

「生きる希望を捨ててはいけません。
帰国(ダモイ)の日は必ずやって来ます。」
零下40度を超える厳冬のシベリアで、
死と隣り合わせの日々を過ごしながらも、
家族を想い、仲間を想い、
希望を胸に懸命に生きる男が実在した――

第二次世界大戦終了後、約60万人の日本人がシベリアの強制収容所(ラーゲリ)に不当に抑留された。あまりにも残酷な日々に誰もが絶望する状況下において、ただ一人、生きることへの希望を捨てなかった人物…、それが山本幡男<やまもと はたお>である。ラーゲリでの劣悪な環境により栄養失調で死に逝く者や自ら命を絶つ者、さらには日本人抑留者同士の争いも絶えない中、山本は生きることへの希望を強く唱え続け、仲間たちを励まし続けた。自身もラーゲリに身を置き、わずかな食糧で過酷な労働を強いられていたが、仲間想いの行動とその力強い信念で多くの抑留者たちの心に希望の火を灯した。

そんなラーゲリで一筋の希望の光であった山本幡男の壮絶な半生を、その高い演技力と豊かな表現力で俳優・アーティストとして、多くの人々に希望を与え続けてきた二宮和也が演じ、映画化されることが決定。

そして、時代に翻弄されながらも愛する夫を信じて待ち続ける山本幡男の妻・山本モジミを、様々な役を演じ分ける実力派俳優として男女問わずに高い人気を得ている、北川景子が演じる。

更に、山本と共に極限のラーゲリを生き抜く抑留者仲間として、豪華キャストが集結。戦禍で友人を亡くしたトラウマから自身を「卑怯者」と思い悩む松田研三を松坂桃李、最年少でムードメーカーの新谷健雄を中島健人、昔ながらの帝国軍人として山本に厳しくあたる相沢光男を桐谷健太、過酷な状況下で心を閉ざしてしまう山本の同郷の先輩・原幸彦を安田顕が熱演する。また、山本幡男の長男・顕一の壮年期を、テレビドラマ「収容所から来た遺書」(93/CX)で山本幡男を演じた寺尾聰が担う。日本映画界を牽引する演技派俳優陣の共演により、観る者の心を掴んで離さない珠玉の人間賛歌がスクリーンに描き出される。

撮影は2021年10月下旬から12月下旬に行われ、2022年12月9日(金)に公開となる。生活様式や価値観が大きく変わり混沌とする現代にこそ贈りたい、鬱屈したこの時代に光を灯す、心震わす〈愛の実話〉が誕生する。

ストーリー

第二次大戦後の1945年。そこは零下40度の厳冬の世界・シベリア…。わずかな食料での過酷な労働が続く日々。死に逝く者が続出する地獄の強制収容所(ラーゲリ)に、その男・山本幡男は居た。「生きる希望を捨ててはいけません。帰国(ダモイ)の日は必ずやって来ます。」絶望する抑留者たちに、彼は訴え続けた――

身に覚えのないスパイ容疑でラーゲリに収容された山本は、日本にいる妻・モジミや4人の子どもと一緒に過ごす日々が訪れることを信じ、耐えた。劣悪な環境下では、誰もが心を閉ざしていた。戦争で心に傷を負い傍観者と決め込む松田。旧日本軍の階級を振りかざす軍曹の相沢。クロという子犬をかわいがる純朴な青年・新谷。過酷な状況で変わり果ててしまった同郷の先輩・原。山本は分け隔てなく皆を励まし続けた。そんな彼の仲間想いの行動と信念は、凍っていた抑留者たちの心を次第に溶かしていく。

終戦から8年が経ち、山本に妻からの葉書が届く。厳しい検閲をくぐり抜けたその葉書には「あなたの帰りを待っています」と。たった一人で子どもたちを育てている妻を想い、山本は涙を流さずにはいられなかった。誰もがダモイの日が近づいていると感じていたが、その頃には、彼の体は病魔に侵されていた…。

松田は、危険を顧みず山本を病院に連れて行って欲しいと決死の覚悟でストライキを始める。その輪はラーゲリ全体に広がり、ついに山本は病院で診断を受けることになった。しかし、そこで告げられたのは、余命3ヶ月― 山本により生きる希望を取り戻した仲間たちに反して、山本の症状は重くなるばかりだった。それでも妻との再会を決してあきらめない山本だったが、彼を慕うラーゲリの仲間たちは、苦心の末、遺書を書くように進言する。

山本はその言葉を真摯に受け止め、震える手で家族への想いを込めた遺書を書き上げる。仲間に託されたその遺書は、帰国の時まで大切に保管されるはずだった…。ところが、ラーゲリ内では、文字を残すことはスパイ行為とみなされ、山本の遺書は無残にも没収されてしまう。山本の想いはこのままシベリアに閉ざされてしまうのか!?死が迫る山本の願いをかなえようと、仲間たちは驚くべき行動に出る――

戦後のラーゲリで人々が起こした奇跡―― 
これは感動の実話である。

キャスト&キャラクター

  • 二宮和也Ninomiya Kazunari
  • 北川景子Kitagawa Keiko
  • 松坂桃李Matsuzaka Tori
  • 中島健人Nakajima Kento
  • 寺尾 聰Terao Akira
  • 桐谷健太Kiritani Kenta
  • 安田 顕Yasuda ken
  • 〈主な出演作品〉

    『硫黄島からの手紙』(06)

    『GANTZ』シリーズ(11)

    『母と暮せば』(15)
    第39回日本アカデミー賞
    最優秀主演男優賞受賞

    『ラストレシピ~麒麟の舌の記憶~』(17)

    『検察側の罪人』(18)
    第42回日本アカデミー賞
    優秀助演男優賞受賞

    『浅田家!』(20)
    第44回日本アカデミー賞
    優秀主演男優賞受賞

    『TANG タング』(22)

  • 〈主な出演作品〉

    『抱きしめたい -真実の物語-』(14)

    『探偵はBARにいる3』(17)
    第41回日本アカデミー賞優秀助演女優賞受賞

    『スマホを落としただけなのに』シリーズ
    (18、20)

    『約束のネバーランド』(20)

    『ファーストラヴ』(21)

    『キネマの神様』(21)

    『大河への道』(22)

  • 〈主な出演作品〉

    『孤狼の血』シリーズ(18、21)
    第42回日本アカデミー賞
    最優秀助演男優賞受賞、
    第45回日本アカデミー賞
    優秀主演男優賞受賞

    『新聞記者』(19)
    第43回日本アカデミー賞
    最優秀主演男優賞受賞

    『あの頃。』(21)

    『いのちの停車場』(21)

    『空白』(21)

    『流浪の月』(22)

    『耳をすませば』(22公開予定)

  • 〈主な出演作品〉

    『劇場版 BAD BOYS J 最後に守るもの』(13)

    『銀の匙 Silver Spoon』(14)

    『黒崎くんの言いなりになんてならない』(16)

    『心が叫びたがってるんだ。』(17)

    『未成年だけどコドモじゃない』(17)

    『ニセコイ』(18)

    『桜のような僕の恋人』(22/Netflix)

  • 〈主な出演作品〉

    ドラマ「収容所から来た遺書」(93/CX)
    山本幡男役

    『乱』(85)

    『夢』(90)

    『雨あがる』(00)
    第24回日本アカデミー賞最優秀主演男優賞受賞

    『半落ち』(04)
    第28回日本アカデミー賞
    最優秀主演男優賞受賞

    『亡国のイージス』(05)

    『博士の愛した数式』(06)
    第30回日本アカデミー賞優秀主演男優賞受賞

    『さまよう刃』(09)

  • 〈主な出演作品〉

    『アウトレイジ ビヨンド』(12)

    『バクマン。』(15)

    『TOO YOUNG TO DIE! 若くして死ぬ』(16)

    『彼らが本気で編むときは、』(17)

    『火花』(17)

    『ビジランテ』(17)

    『ミラクルシティコザ』(22)

  • 〈主な出演作品〉

    『家に帰ると妻が必ず死んだふりをしています。』(18)

    『愛しのアイリーン』(18)

    『影裏』(20)

    『ホテルローヤル』(20)

    『私はいったい、何と闘っているのか』(21)

    『リング・ワンダリング』(22)

    『とんび』(22)

  • 山本幡男やまもと はたお

    事実無根のスパイ容疑により、
    妻と4人の子どもを日本に残して
    ラーゲリに収容される。
    妻との再会の約束を果たすため、
    「ダモイ(帰国)」を信じ、劣悪な環境の中でも
    抑留者たちを励まし、生きる勇気を与え続ける。

  • 山本モジミやまもと もじみ

    山本幡男の妻。
    元教師で、幡男が抑留されてからは
    4人の子どもを女手ひとつで育て上げる。
    夫と交わした再会の約束を信じて
    帰国を待ち続ける。
     

  • 松田研三まつだ けんぞう

    戦場で足がすくみ戦闘に参加出来ず、
    目の前で友人を亡くした経験から、
    自らを「卑怯者」と思い悩む。
    心の傷を抱えながら、
    山本と共にラーゲリでの生活を送る。
     

  • 新谷健雄しんたに たけお

    生まれつき足が不自由なため
    徴兵されなかったが、漁の最中に連行される。
    故郷の兄弟を常に気にかけ、
    労働作業中に出会った子犬をクロと名付けて
    食糧を分け与える優しい青年。
    教育を受けておらず、山本からは読み書きを教わる。

  • 山本顕一(壮年期)やまもと けんいち

    山本幡男の長男。
    10歳の時に満州ハルビンからの帰国途中、
    ソ連軍の爆撃に合い、
    父親とは離れ離れに。
    父の姿や言葉、家族の思い出を胸に、
    母を支える。

  • 相沢光男あいざわ みつお

    ラーゲリ内においても
    軍人時代の「軍曹」という
    自らの階級に拘り、
    一等兵であった山本や松田らに
    高圧的な態度を取り、
    特に山本を敵対視する。

  • 原 幸彦はら ゆきひこ

    山本にロシア文学の素晴らしさを教え、
    彼の人間形成に大きな影響を与えた
    同郷の先輩。
    ラーゲリで追い詰められた末に
    とってしまったある行動により、
    心を閉ざしてしまう。

  • クロ

    労働作業中の抑留者たちの
    前に現れた黒毛の犬。
    親からはぐれた様子を見かねた山本が
    ラーゲリに連れ帰る。
    新谷らに食料を分け与えられ、
    いつしか生活を共にするようになる。

原作

収容所ラーゲリから来た遺書』(文春文庫刊)

著者:辺見じゅん著
発行部数:250,000部(2022年8月現在)

【プロフィール】

辺見じゅん(1939-2011)

歌人で作家。富山県で生まれ、早稲田大学第二文学部卒。

私小説風から童謡・詩歌まで幅広い作品を手がけ、ノンフィクション作品においては丹念な聞き取りを元に構成していると評価が高い。

1984年、『男たちの大和』で第3回新田次郎文学賞を受賞。

1988年、『闇の祝祭』で第12回現代短歌女流賞を受賞。

1989年、『収容所ラーゲリから来た遺書』で
第11回講談社ノンフィクション賞を受賞。

1990年、『収容所ラーゲリから来た遺書』で
第21回大宅壮一ノンフィクション賞を受賞。

ノベライズ

『ラーゲリより愛を込めて』
(文春文庫刊)

原作・辺見じゅん 映画脚本・林 民夫

究極の愛を描く感動巨編映画『ラーゲリより愛を込めて』(2022年12月9日公開)の見どころを余すところなく伝えるノベライズ版。
涙なくしては読み進めることができない、驚きと感動で心が震わされる、究極の愛の実話。


詳細はこちら

主題歌

「Soranji」

Mrs. GREEN APPLE

【大森元貴(Mrs. GREEN APPLE)コメント】

戦争映画とはただ言い切れず、人との繋がり、愛とは。信じ抜くことの尊さ、難しさを改めて教えてくれた、確認できた。 僕にとってそんな映画です。

だからこそ「Soranji」は生きる事への探究、深淵に触れるようなただならぬ感覚でなんとか制作することが出来ました。 皆様自身が歩んできた人生に、必ずどこかしらでリンクできる、寄り添える作品を作れたのではないかと思っております。

1人でも多くの方に、この映画が、この曲が届く事を願っています。

【Mrs. GREEN APPLE プロフィール】

大森元貴(Vo/Gt) 若井滉斗(Gt) 藤澤涼架(Key)

2013年結成。2015年EMI Recordsからミニアルバム「Variety」でメジャーデビュー。以来、毎年1枚のオリジナルアルバムリリースと着実なライブ活動を続け、2019年12月から行われた初の全国アリーナツアー「エデンの園」は東名阪公演(8万人動員)を即日ソールドアウト。

メジャーデビュー5周年となる2020年7月8日に初のベストアルバム「5」をリリースし、オリコン週間合算アルバムランキング、Billboard 総合アルバム・チャートにて1位を獲得。同時に『フェーズ1完結』を宣言し、突如活動休止を発表。

活動休止中にもかかわらず、2021年2月には、世界最大の音楽企業ユニバーサル ミュージック グループとタッグを組み、Mrs. GREEN APPLEの活動を拡張するためのプロジェクト『Project-MGA』を立ち上げる。また、主要ストリーミングサービスにおいて「青と夏」「インフェルノ」「点描の唄 feat.井上苑子」「僕のこと」「ロマンチシズム」「WanteD! WanteD!」の6曲が総再生数1億回を突破(「青と夏」「インフェルノ」「点描の唄 feat.井上苑子」は3億回を突破)するなど、リリースした楽曲の総再生数は35億回を越えている。(再生回数は2022年8月31日時点)

約1年8ヶ月の活動休止期間を経て、現在のメンバー編成となり、2022年3月に『フェーズ2開幕』とし活動を再開。同年7月8日にミニアルバム「Unity」をリリースするとともに、一夜限りの復活ライブ「Utopia」を開催した。また、映画「ONE PIECE FILM RED」に劇中歌「私は最強」を提供、11月9日には最新シングルとして映画「ラーゲリより愛を込めて」の主題歌「Soranji」のリリースを予定している。

プロダクションノート

  • クランクインLINK
  • 愛しのクレメンタインLINK
  • リアリティ溢れるオープンセットLINK
  • 想定外の雪LINK
  • 野球のシーンLINK
  • ロシア語のセリフについてLINK
  • クロとのシーンLINK
  • 作品を支える抑留者役の役者たちLINK
  • 幡男とモジミLINK
  • クランクアップLINK
  • クランクイン

    『ラーゲリより愛を込めて』は2021年10月下旬にクランクイン。最初に撮影されたのは、第二次世界大戦後のソ連・ハバロフスクで、不当に抑留された日本人たちが、ソ連兵の監視のもと鉄道敷設のための重労働をさせられるシーンである。泥だらけになりながら作業する50人ほどの中に、二宮和也扮する山本幡男と、中島健人扮する新谷健雄の姿もあった。丸刈りに、痩せた体が過酷な日々を物語る。
    「戦争の後遺症、とくに精神的な後遺症は、これまであまり描かれてこなかったけれど、伝える側としてやるべきことだなと思ったんです」と二宮。「山本さんのような方がいて今の日本があるという敬愛はしつつ、実際にどういうことがあったか、思い出したくないような辛い部分も丁寧にやらせてもらえるならぜひやりたいと思いました」。役のために大幅な減量を行い、25歳の頃と体重が同じになったと明かすが、「13年分の重力の影響は戻らないと知りました(笑)」と言って周囲を和ませる。
    この日は、山本と新谷の初対面シーンも撮影。新谷がクロと呼んで可愛がっている子犬に自分の黒パンをあげて抱きかかえ、空を見上げるシーンでは、新谷の爽やかな笑顔が印象的だ。人生初の丸刈りになった中島は「役で丸刈りにすることが一つの目標だったんですが、それを二宮くんの主演作品でできたことがとても嬉しいです」と言う。「瀬々監督から、新谷はこの映画の希望の光になってほしいと言われたので、本編の中でも前半部分は特に、突出して明るいキャラクターを演じようと思っています」と意気込みを語る。
    この日の最後は、ドローンを使った壮大な空撮カットで締めて撮影は終了。瀬々監督が抑留者役一人一人の目を見ながら「お疲れさまでした!」と声をかけていく姿も印象的だった。
  • 愛しのクレメンタイン

    日本で山本の帰りを待ちながら、4人の子供を育て上げる妻・モジミを演じる北川景子は、11月半ばにクランクイン。「オファーをいただいて、脚本を読んで、先の見えない今の時代だからこそ観ていただきたい作品だなと心から思いました。瀬々監督と一度ご一緒してみたいとずっと思っていましたので、参加しないという選択肢はありませんでした」。
    4人の子供たちと魚売りのリヤカーを押しながら、山本との思い出の曲「愛しのクレメンタイン」を口ずさむシーンの撮影は、夕方の日が落ちていく中、時間との闘いとなった。気温も下がっていき、北川が自分のベンチコートで子供たちを温めてあげたりも。
    予定されたカットを無事撮り終えた後も、監督は「あと1カットだけ!」と粘ってモジミ越しの空を撮影。「カットOK!」で終わったかと思いきや「もう少し寄りも!」と一言。スタッフ陣は「これで本当に最後ですね」と言いながらも何だか嬉しそう。結局、その後ももう1テイク撮ることになったが、そんな監督の熱意が現場の士気をあげ、作品を牽引していく。
  • リアリティ溢れるオープンセット

    スベルドロフスクとハバロフスクのラーゲリは、シベリアに似た植生(白樺、カラマツなど)で、ある程度雪が積もり、かつ都内から比較的アクセスしやすい場所を探し、新潟県のとある山間にあった約1万平米ほどのスペースにオープンセットが建てられた。柵やバラック、門などは資料を探したり、抑留経験者で今は語り部となっている方にお話を聞いたりして材質や形状を割り出した。それらの資料は積み上げると3mほどになるとか。セットに使用する白樺やダケカンバは、北海道や群馬県などから、計100トン近くの資材を取り寄せている。
    このオープンセットでクランクインを迎えたのは、松田研三役の松坂桃李。「この作品に参加したい、この座組で作品を作りたい」という思いで出演を決めたという。「10年前にご一緒させていただいた瀬々監督と久しぶりにお仕事できること、二宮さんと初めてお芝居で共演できることの喜びが大きかったです」。ラーゲリのセットについては、「作りこみのクオリティがすさまじくレベルが高いので、演じるうえで助けられる部分は大きいですね。ここで寒さを肌で感じると、より一層、ラーゲリの過酷さを痛感させられる気がします」と印象を語る。
    山本の同郷の先輩・原幸彦を演じるのは安田顕。「オファーをいただいて、身が引き締まる思いでした。これは生半可な覚悟ではいけないと思いましたし、この作品に呼んでいただけたことに本当に心から感謝しました」と熱い思いを語る。オープンセットについても「あの場所をロケ地に選んでくださったということで、寒くて撮影条件は過酷ですが、おかげで寒さを演技で表現する必要はない。それがこの作品にとって良い方に働くといいなと思います」。
    ラーゲリや、シベリア鉄道の建設地に咲いているのは、資料に記されていたアイスランドポピー、桔梗、コスモスなど。美術スタッフがシーンによって飾り替え、季節の移り変わりを表現している。
  • 想定外の雪

    元軍曹で、山本に高圧的な態度を取る相沢光男役を演じるのは、桐谷健太。「実際に抑留を経験された方たちのことを思うと、過酷さは想像を絶するものがあるでしょうし、それを自分が演じていいのだろうかと考えることもありました。でも、時に教科書よりも印象深く心に残るのが映画の一つの武器だと考えたときに、ぜひやらせていただきたいなという気持ちになりました」とオファーを快諾し、相沢役を熱演している。
    ある出来事がきっかけで自暴自棄になり、ハバロフスクのラーゲリを脱走しようとする相沢が、山本に止められ、「それでも生きよう」と説得されるシーンは11月下旬に撮影を行った。この時期にオープンセットに雪が積もることは想定しておらず、もともと雪のない設定のシーンだったが、前日の夜に降り始めた雨がすぐ雪に変わり、当日は大人の膝上ぐらいまで積もっている状態。そのため急遽、雪の設定で撮ることになったが、それがプラスに働いたとキャスト陣は口をそろえる。二宮は言う。「予想外の雪がすごく良かったです。自分より体が大きくて、しかもテンションが上がっている相沢をどうやって止められるか、ずっと考えていたんですが、雪で(足が)もたついてくれたので本当に助かりました」。桐谷も「雪があることでとても力強いシーンになったと思いますし、雪が積もってくれたことが嬉しかったです。いろんな力に支えられてできたシーンだと感じます」。
    ちなみにこのシーンは、北川が完成作を見て最も感動したシーンの一つに挙げている。「『それでも生きよう。希望は絶対にあります』という山本さんの言葉が、閉塞感ただよう時代に、まるで自分に言ってもらっているようにも感じました。あのセリフは本当に心に残っています」。
  • 野球のシーン

    雪の中、相沢が脱走しようとするシーンを撮った翌日に撮影したのが、ラーゲリの営庭にて、抑留者たちがつかの間の野球を楽しむ春のシーン。撮影を行う芝生は、雪に備えてブルーシートで覆っていたのだが、その上に30㎝を超える雪が積もったため、シートをはがす前にまずは大量の雪をどけないといけない。そこでキャスト・スタッフ総出でスコップや除雪車を使って雪かきを行うことに。かなりの重労働となったが、雪を取り除き、シートをめくってみるとそこにはきれいな芝が!
    野球のシーンは、抑留者役の役者陣も活き活きとして、楽しい撮影となった。中島演じる新谷は、初めて野球をプレイする設定だが、「僕も野球をほぼやったことがなくて。瀬々監督に『いいスイングだったよ』と言われて嬉しかったです(笑)」と中島。「シーンとしては、山本さんの統率力を改めて実感するシーンでした」。
    一方、野球に参加しない松田役の松坂は「僕個人としては参加したかったです(笑)。皆が笑顔になれる瞬間を描いた、一種の希望の象徴のようなシーンで、この映画の中で一番大事なシーンの一つだと思います。ああいうことがあると本当に心が救われるんだなと現場にいて実感しましたし、改めて山本さんの存在が皆の希望、光であると痛感したシーンでした」。さらに桐谷も野球に参加していないが、「相沢は不器用なのかプライドが高すぎるのか、参加せずに遠くから見ているんですけど、きっとめちゃくちゃうらやましかったでしょうね(笑)。そして山本がソ連兵に正論で立ち向かっていく姿は、相沢にとっては憧れでもあり、脅威でもあったと思います」と分析する。
  • ロシア語のセリフについて

    ロシア語が堪能なキャラクターを演じる二宮と安田は、撮影前からロシア語指導の先生に習ったり、ロシア語のセリフが吹き込まれた音声を聞きこんだり、カタカナでルビをふって発音を覚えるなどして撮影に臨んだ。「撮影現場にも指導の先生はずっといてくださいましたし、あとはソ連兵役のロシア人の方がいたのも大きかったですね」と二宮。「『ここはもっとこうしたほうがいい』とか『ちゃんと聞こえますよ』みたいなやりとりを何度もして確認しながら演じたので、ロシア語のシーンがあるときは、結構なごやかな現場でした」。日本語のセリフだとニュアンスを変えることもできるが、ロシア語の場合は覚えた通り、正確に言わないといけないのが大変だったという。「撮り終わったセリフはびっくりするぐらい早く記憶から消すことができて、容量が軽くなるような感覚でした(笑)」。
    原は、ソ連人将校の部屋にたった一人で乗り込み、山本を大きな病院に連れていくようロシア語で要求するシーンがある。将校から銃を突きつけられるなど緊迫したシーンだが、「カット」の声がかかると、将校役のロシア人俳優がにこやかに頷いた。安田のロシア語が完璧で、言葉に感情が込められており感動したのだという。安田はこのときのことを「自分のロシア語が伝わった、と思って嬉しくなりましたし安心しました」と振り返っている。
  • クロとのシーン

    ラーゲリ内で飼われていた黒毛の犬・クロ。草野球で球拾いをしたり、抑留者の癒しの存在であった。クロが船で帰国する日本人を追って氷海に飛び込み、共に帰国したエピソードは実話である。 映画では子犬時代を生後二か月のクロスケ、成犬になってからをダイキチが演じており、二匹とも本作がスクリーンデビューとなる。クロスケは撮影初日のみの参加となったが、中島に抱っこされると早速頬をぺろぺろとなめるなど人懐っこく、現場を和ませた。山本と新谷、それぞれに抱き上げられるシーンがあったが、二宮も中島も動物トレーナーの方も称える扱いの上手さを見せ、撮影を乗り切ることができた。
    より高度な演技が求められるダイキチは、クランクインの3か月ほど前から、トレーナーさんの合図で吠えたり、遠くに飛んだ野球ボールをくわえて持ってくる動きなどを練習してきた。とはいえ、撮影時にはそれを多くのキャストがいる状態で行わなければならない。まずは、ダイキチにとってそれほど難しくないお手やお座り、気を付けなどを中島の合図でやってみることに。うまくできれば中島にほめてもらったりおやつをもらったりを繰り返し、距離を縮め、信頼関係を築いていった。
    中島は、「心が通じたと思ったのは、担架で運ばれる山本さんをクロと見届けるシーン。ずっとおとなしく寄り添っていてくれて、改めて心情を理解できる動物なんだな、心のケアをしてくれているんだなと感じました」とコメントしている。
  • 作品を支える抑留者役の役者たち

    本作では主要キャストの他に、抑留者役で50名ほどの役者がA、B、Cチームに分かれて参加している。彼らの名前を瀬々監督はすべて記憶しており、メインの役者の奥にいる際でも、細かく演出をつけていた。二宮は言う。「瀬々監督は、『これやってみない?』『あれやってみない?』とずっと提案し続けられるほど、本当に楽しそうに撮る方だと思いました。手前で芝居をしている人間だけじゃなくて、奥で演じている人たちの演技も気になると『もう一回』と言いますし、しかもその人たちを全員名前で呼んでいることに驚きました」。松坂は、抑留者役のキャストたちから刺激を受けたと言う。「あれだけたくさんの方がいる中で、誰一人として自分が映ってないからいいや、という考えの人がいなくて、自分に与えられた役に相当な熱量で取り組んで、いろいろなアイディアを出される。刺激を受けましたし、当時にタイムスリップするような空気を皆で作っている感じがしました」。桐谷は、抑留者役の役者たちと徐々に打ち解けていく過程が演技とリンクしていたのではと言う。「寒さや過酷さのある現場でしたが、収容所のメンバーとものすごく仲良くなれて、みんなで乗り越えた実感が強くあります。本当にいい仲間、大好きな人が一気にたくさんできた作品です」。
  • 幡男とモジミ

    「とにかく子供たちに愛情を注ぎ一生懸命育てること、そして二宮さん演じる幡男さんのことを常にイメージすることを意識して取り組んでいました」と言う北川。 北川は撮影期間を振り返り「私自身は、子供たちと一緒に魚を焼いたり裁縫をしたりと、何気ない日常を描いているシーンも多くて、撮影はすごく楽しかったです」と穏やかな表情を見せる。「とにかくラーゲリの撮影は大変なんだろうなって思い続けた期間でした。『昨日は無事撮れたかな?今日の撮影場所の天気はどうかな?』って毎日調べて。私はラーゲリのパートには出てきませんが、気持ちはそこにあったと思います。すごく思い入れの大きい役に出会えました」。
  • クランクアップ

    本作がクランクアップを迎えたのは、2021年12月27日のこと。クランクアップ前日、前々日は、氷点下のラーゲリのオープンセットに雪が降りしきる中、大型扇風機を使って風を起こし、猛吹雪の状態を作り出して強制労働のシーンを撮影するなど、過酷な日々が続いていたが、この日の天候もまた雪。どんよりした空の下であったが、日本からハガキが届き、バラック内で皆で盛り上がるシーンなどを撮影していく。 キャスト陣は順にクランクアップを迎え、それぞれが瀬々監督はじめ、このスタッフ、キャストと仕事ができたことへの感謝や、作品への思いなどを熱くコメントしていった。最後のカットとなったのは二宮と松坂の共演シーン。監督の「OK!」の声が響き、ついにオールアップ!
    コロナ禍における撮影となったが、無事に乗り切ることができた本作。二宮はそんな撮影の日々を振り返り、「あんなに寒い中で撮っていたのに体調を崩す役者が一人もいなかったのは、みんな気合が入っていた証。大きなけがもなく、事故もなく、コロナにかかる人も体調不良の人もいなかったことが一番大きかったし、それだけでも一つ成功と言えるのではないかなと思います」とコメント。「『完成を楽しみにしています』と言える作品になってよかったなとほっとしています」と清々しい表情で語り、約2か月間にわたる撮影を終えた。